企業向けパワハラチェックシートの使い方と、社内で実施するときの手順
パワハラ対策の最初の一歩として、チェックシートを使う企業は多くあります。この記事では、公的機関が公開しているチェックシートの内容と、社内で実施するときの手順、チェックシートだけではわからないことを説明します。
パワハラチェックシートとは
パワハラチェックシートは、職場で起きている言動が、パワハラに当たる可能性のある行為に当てはまるかを確認するための一覧表です。使い方によって、大きく次の2種類に分かれます。
| 種類 | 誰が答えるか | わかること |
|---|---|---|
| 行為のチェック | 社員全体 | 職場でパワハラに当たりうる行為が起きているか、見聞きしたことがあるか |
| 自己チェック | 管理職など、行為者になりうる立場の人 | 自分の言動や考え方に、パワハラにつながる傾向がないか |
このほか、企業の担当者が、方針の周知や相談窓口の設置など、法律で求められる措置ができているかを点検するためのチェックリストもあります。
公的機関が公開しているチェックシート
東京都「TOKYOノーハラ」のチェックシート
東京都のハラスメント防止に関する企業支援サイト「TOKYOノーハラ」では、Webページ形式のチェックシートを公開しています。パワハラ(6類型)のほか、セクハラ、マタハラ、パタハラ、SOGIハラ、カスハラ、就活ハラスメント、リモートハラスメントといった複数のハラスメントについて、該当しうる行為を一覧で確認できます。1つでも当てはまればハラスメントの可能性がある、という使い方で、あわせて企業が取るべき対策も紹介されています。
厚生労働省「あかるい職場応援団」
厚生労働省のハラスメント対策の総合情報サイト「あかるい職場応援団」では、ハラスメント対策マニュアルやパンフレット、研修資料、研修動画などを公開しています。社内で研修を行うときや、方針を周知する資料を作るときの参考になります。
厚生労働省の指針
チェック項目を自社で作る場合は、厚生労働省のパワハラ指針が示す6類型と、該当する例・しない例を土台にすると、法律の考え方からずれにくくなります。
社内でチェックシートを実施する手順
- 目的を決める
社内の実態を把握したいのか、管理職に自分の言動を振り返ってもらいたいのかで、使うシートと対象者が変わります。 - 対象者と回答方法を決める
社員全体の実態把握なら匿名式が向いています。管理職の自己チェックなら、本人が結果を確認できる形にします。 - シートを用意する
公的機関のシートをそのまま使うか、自社の業種や職場の実情にあわせて項目を加えます。 - 目的と結果の扱いを伝えて実施する
誰が結果を見るのか、結果をどう使うのかを最初に伝えます。回答を人事評価に使わないことも明記すると、正直な回答が集まりやすくなります。 - 集計し、対策につなげる
当てはまる人が多かった項目を研修で取り上げたり、部署ごとの差が大きい場合に個別の対応を検討したりします。
社員アンケートとして行う場合の設問の作り方や匿名性の確保については、社内ハラスメント調査の進め方で詳しく説明しています。
チェックシートだけではわからないこと
本人に自覚がない言動
「部下を人前で叱責したことがあるか」と聞かれて、自分の指導はパワハラではないと考えている人は「いいえ」と答えがちです。行為の有無を聞くチェックシートは、本人が問題だと感じていない言動を拾いにくいという弱点があります。
リスクの大きさ
「1つでも当てはまればパワハラの可能性がある」というチェックシートでは、当てはまった項目の重さや数による違いがわかりません。対策の優先順位をつけるには、どの程度リスクが高いのかを示す尺度が必要です。
回答が本心かどうか
自分に不利な項目には、実際とは違う答えをしてしまうことがあります。紙やシンプルなフォームのチェックシートでは、回答の信頼性を確かめるのは難しくなります。
こうした弱点を補うには、行為の有無だけでなく、日頃の接し方や仕事・休暇に対する考え方まで含めて聞き、回答を点数化してリスクの程度を示す診断を組み合わせる方法があります。
チェックの結果、パワハラの可能性が見つかったら
チェックシートは、パワハラに当たるかどうかを判断するものではありません。当てはまる行為が見つかった場合は、相談窓口の案内や、事実関係の確認など、社内の手順に沿って対応します。個別の事案の判断に迷う場合は、弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談してください。